ブログでの報告が遅れましたが、2020/1/25(土)にイコーラムホールで上演した着物音楽朗読劇「装×奏×想~着物とクラシックで紡ぐ物語」を無事終演することができました。
広いホールで大丈夫かな…埋まるかな…って思っていたのに、想像以上にたくさんのお客様が来てくれて、昼公演は当日券が売り切れるほど。夜もたくさんの人に見てもらいました。そして着付けパフォーマンスとクラシック生演奏と朗読劇の組み合わせも、とても面白がってもらいました。
ヘアメイク、照明、舞台美術、音響、そして見てくれるお客様。これは本番だけのもの。わたし自身、本番が一番物語の中に入りこめて声もちゃんと出すことができた。
本番前の集合写真。
中身は語り尽くせませんが、写真をいくつか。
リハーサルの写真なのでヘアセットはされていませんが、昼の部で魔法使いがシンデレラを変身させる場面になぞらえて、地味な妹・秋子(わたし)が舞踏会に行くために華やかな着物に着替えていくシーン。侍女役に扮する和装着装士の松本久実さんと徳田敦子さんがモンティ「チャルダッシュ」の楽しく扇動的な生演奏に合わせて創作飾り帯を舞台上で魅せていくシーン。
徳田敦子さんとバイオリンの雅子さんは姉妹。お二人を中心にみなさんはパフォーマンスグループKimono Orquestaとして活躍されています。
完成した帯、こんな感じ。一本の帯からこんな造形が生まれるなんて。本当にすごい技。後ろから撮れるのはリハーサル写真ならでは。
舞台全体、昼の部はこんな感じ。
後ろの布はジョーゼットというらしい。シンデレラっぽい世界観を作ってもらいました。男性BL演劇グループから心霊系YouTuberグループに転身した?(詳細こちら)MISTの青地貴裕さんは、シンデレラの王子さまに相当する侯爵の跡継ぎ。天皇家の親戚です。偉いのです。着物も立派。そして同じくMIST所属の久保憲太郎さんはその従兄。偉いはずなんだけど洋行帰りの変わり者なので粋な着物に蝶ネクタイ。
端には語り役の樹リューリさん。小説の会話以外の地の文にあたるパートを担当。役者の演技でももちろん伝えるのだけど、見た目からはわからない複雑な想いも地の文なら表せる。その小説のよさをプロのナレーションの技で伝えてもらった。
演奏はバイオリンとピアノのみ。
着付けの動きに合わせたり、朗読の言葉のタイミングに合わせて弾く演奏のおふたり。徳田雅子さんは2歳からバイオリンをやっているそうです。演奏のみのパートのときは情熱的な心を打つ音で会場中を満たしてくれました。ピアノの鎌垣有樹子さんは言葉に寄り添う情緒的なメロディーで物語全体を包みこんでくれました。
カーテンコールの写真。
昼の部はわたしは4パターンの衣装を着せてもらいましたが、夜の部は着替えなし! 段取りがめっちゃ楽!!!(昼の部はセリフ終わって安心してる暇もなく着替えに入らないといけなかった)その代わり、物語のストーリーをつかさどる役だったのでセリフが多くて大変でした。…て、自分で書いてるわけだから自分のセリフ少なくしたかったんだけど、なにせ、着替えのない人たちが場をつなぐしかないので必然的に多くなるのでした。
本番直前の楽屋で。わたしと青地さんは着替えがない、ので、ひたすらつなぐ役。
久保さんは嵐の海に落ちて海の神である王女に助けられるので冒頭はシンプルな服。そして、王子として再び登場したときは、立派な…!王子らしい…!格好に…!
昼も夜も常人には着こなせないファッションで新たな着物世界を切り開いてくれる久保さんでした。
まあ、最後は結婚式なので正統派なかっこいい着物男子でした。
こうなってみると青地さんだけが異世界の面白い人ですね。
2年間にわたる準備期間を経て、脚本2本書いて、何度も稽古をして、とても大変だったけれど、一緒にやってくれた人たちと観に来てくれた人たちのおかげで、想像しうる限り最高の形で終えることができました。本当にありがとうございました。
感謝の言葉を言い出したらきりがないけど。
舞台のことを何も知らないのに「朗読劇やりたい」って言いだし、うろうろおろおろしてばかりの演出なのに、小難しい文学的言い回しな脚本を見事に読みこなしてわたしの表したい世界をつくってくれて、さらに演技も声もド素人のわたしを、いつも全力で面倒見てくれる(見ざるを得なくなる)このおふたりには、本気で頭が上がりません。いつか偉くなってでっかいお仕事取って来て恩返しするんだからね!
この3人で朗読ユニットTREESって名乗って、金色夜叉と斜陽と2演目やって、vol.3もやりたいなあと願い続けていたので、また一緒にできてよかったです。今まで以上に迷惑かけまくりでした。無理やりカメラマンの前に引っ張り出して嫌そうな樹リューリさんと、10歳以上年下とは思えないしっかりものすぎる柳元麻見さん。
そしてそして、制作・舞台監督の馬場美智子さん。
斜陽の舞台で照明スタッフとして入っていた美智子さんと出会って、いつか一緒に何かやりたいねって言ってて、ふつうはそんな「いつか」は口だけで終わってしまうのだけども、口だけで終わってしまうのは嫌だからと、今回の企画を持ってきてくれました。
本当にできるのかどうか、美智子さんにとっても未知数。わたしが乗るのかどうかもわからない。「ちょっと話があって…」って、明日死ぬんじゃないかみたいな深刻な感じで持ちかけてくれたの、もう2年以上前かしら。
美智子さんがいなかったらこの舞台は生まれなかった。そして長年この業界にいた人脈と知恵と経験を生かしてこの舞台を成功させてくれた。
そして、見に来てくれたひと、本当にありがとうございました!たくさん来てくれて、おかげでとってもリラックスして心から楽しんで物語を届けることができました。
大変すぎてもうこれが最後なんて言ってたんだけど、でも舞台って面白い。演技って面白い。朗読って面白い。また、何か、できたらいいな。見てくれる人がいてくれたら、またできるから。わたしが舞台をつくったら「見たい」って思ってもらえるように、腕も心も磨いていきたいです。
一度きりの舞台。物語の登場人物たちが観てくれた人たちの心の中で生き続けてくれて、ときどき思い出してくれたら幸せです。
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