ここでのお知らせが遅れましたが、2025年2月に、ブックライティングした本がハヤカワ新書から出ました。ハヤカワ新書は早川書房で2023年6月に創刊されたばかりのニューフェイス。後発組だからこその尖った面白いラインナップの本が続々と刊行されています。
『意識はどこからやってくるのか』
信原幸弘・渡辺正峰 著 2025年2月19日発売
信原先生を中心に立ち上げられた「意識研究会」で繰り広げられた議論を、ぎゅっと凝縮した1冊です。
議論の内容は意識について。長年意識の哲学を研究してきた信原幸弘先生と、意識を機械にアップロードする(マインドアップローディング)を研究している渡辺正峰先生が、意識について、いろいろ語り合います。
哲学だけだとあまり実感のない話で終わってしまうけれど、本気でマインドアップローディングを実現しようとしている科学者がそこにいれば、議題に切実感がともなってくる。逆に、科学だけだと技術の話に終始してしまいがちだけど、マインドアップローディングが成功した世界で人はどうやって生きていけばいいのかということを考えるには、哲学が必要になってくる。
この仕事を通して、わたしは初めて哲学を自分事に感じることができました。そしてよりよく生きるためには、食べ物や水や空気と同じくらい、哲学をすることは必要で大事なことだと思いました。
するすると読める一冊に仕上げたので、SF好きの人も、脳科学好きな人も、哲学好きな人も、ぜひ手に取ってもらえたら嬉しいです。
ちなみに議論にはわたしも立ち合い、東京へも3度通いました。研究会の準備のディスカッションも含めて、議論の時間は約30時間。こんな膨大なディスカッションをどうやって本にするか、そこはライターの腕の見せ所。対談本ってどちらかの主張に相手がそうだねと頷くだけの予定調和な本が多くて退屈だよね、という話も出ていたので、面白い対談本にしなくてはというプレッシャーの元、いろいろな対談本を読み漁って、どうやったら面白くなるか、研究しました。
いろいろ読んだ中で、以下の対談本が面白かったです。
・『言語が消滅する前に』千葉雅也・國分功一郎(幻冬舎新書)
・『急に具合が悪くなる』宮野真生子・磯野真穂(晶文社)
・『壊れた脳と生きる』鈴木大介・鈴木匡子(ちくまプリマー新書)
本1冊まるまる対談で仕上げるのは初めての経験でしたが、我ながらなかなかうまくできたのではないか。対談とか座談会って朗読劇の脚本みたいで好きかも。とても勉強になりました。
数々の翻訳小説やSF小説の名作を送り出している早川書房さんでお仕事できたのはちょっと感慨深いです。いつか、小説家としてもお仕事したいなあ。SF小説も書いているんですよ。一番最近書いたSF短編はこちら。
まだまだ告知しないといけない仕事があるので、せっせとマイペースで更新します…!
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